News

昨年(2018年)のフィラリア(犬糸状虫)感染開始日と終了日

1、はじめに

少しずつですが、春の到来が近いと感じる日も出てきましたね。私事ですが、息子もこの春で小学生となります。この間まで、赤ちゃんと思っていたのに、経ってみればあっという間です。だんだん、お友達と遊ぶ方が楽しくなって、パパ遊んでと言ってくれることが減るのかなと思うと、疲れている時は助かるなと思いながらも、やはり寂しいものがあります。

さて、以前にHDU(Heartworm Developmet heat Unit)という概念を利用した犬糸状虫感染期間の求め方についてお話ししました。同様の方法で計算した昨年(2018年)の犬糸状虫感染開始日と終了日の報告がありましたので、皆様にお伝えします。HDUの考え方を以下に再掲します。

1日HDU = 日平均気温 – 臨界温度(14℃)

※日平均気温= (日最高気温+ 日最低気温) ÷2、マイナスとなった場合は0として計算

この1日HDUを春は毎日加算して130を超えた時点が感染開始日、冬は最近30日間の合計HDUが130を切った時点が感染終了日とします。

2、昨年の天候について

昨年は、春は全国的に寒気の南下が弱く気温が高い傾向にありました。また、夏は特に東日本で記録的高温を記録し、秋は北日本・東日本で暖かく湿った空気の流れ込みにより比較的気温の高い日が続きました。

3、昨年のフィラリア感染開始日と終了日について

大阪および神戸気象台発表の気温データを用い算出したフィラリア感染開始日と終了日は次のとおりです。

感染開始日
大阪 5月3日  (2017年は5月11日)
神戸 5月6日 (2017年は5月12日)

感染終了日
大阪 11月10日 (2017年は11月3日)
神戸 11月11日 (2017年は11月5日)

これは、その前の年(2017年)に比べると、開始日は約1週間早まり、終了日は約1週間遅かったことになります。

繰り返しになりますが、HDUというのは、正確には蚊が飛び始める時期ではなく、蚊の体内でフィラリアの幼虫が感染する能力をもつまでに発育する時期を言います。ですので、蚊がいれば感染すると言う訳ではありません。

4、今年のフィラリア症予防期間

今年の感染開始日は昨年を参考にすれば、大きくズレることはないと思います。しかし、その年の天候や場所での変動は当然ありますので、当院周辺では5月始め〜12月上旬を予防期間とすれば良いと考えます。

また、フィラリア予防薬の処方前には、安全な投薬のために前年度の予防が成功していること(フィラリアに感染していないこと)を確認する必要があります。この検査はフィラリアに感染してもある程度の期間が経過しなければ感染を検出できないため、フィラリア予防開始日直前(4月以降)に行うことが、より感度の高い有効な検査となります。春の病院が混雑してくる前に検査を済ませ、予防薬をもらってしまいたくなりますが、痛い思いを我慢して頑張るワンちゃんのためにも、少しでも有効な検査をさせてあげて下さい。

5、最後に

フィラリア症は、予防薬の投与でほぼ100%防げる病気です。ご自宅のワンちゃんを予防することは、周囲のワンちゃんへの感染も予防することに繋がり、また、地域でしっかりと予防することは、この地域をフィラリア症蔓延地域とさせないことへと繋がりますので、ぜひ予防をしっかりとしてあげて下さい。

 

参考資料

共立製薬株式会社 KS TOPICS 2019.01.17 No.196

posted date: 2019/Feb/27 /
page
top
Now loading...