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冬はトイレが近い。。。(猫の特発性膀胱炎)

朝晩はすっかり寒くなり、また冬が始まろうとしていますね。
猫はおしっこトラブルが比較的多い動物ですが、寒くなると増える傾向のある病気といえば膀胱炎。今回は、猫の膀胱炎の中でも、特発性膀胱炎と呼ばれる病気についてお話しします。

1、はじめに

猫の膀胱炎の原因は色々あって、それを総じて猫下部尿路疾患(FLUTD)と呼んだりします。猫用ペットフードのパッケージにも時々この英語5文字が書いてあるのを見るかと思います。

この膀胱炎、実は7齢位までの猫でおきた場合、その3分の2は決定的な原因が分からないのが通常とされています。つまり、膀胱がばい菌に感染した訳でも、膀胱の中に石(尿石)ができている訳でも、腫瘍ができている訳でもなく、なぜか膀胱炎になっているというものです。よく分からないので、特発性膀胱炎、英語ではFeline(猫)Idiopathic(特発性)Cystitis(膀胱炎)、頭文字を取ってFICと呼んだりしています。このFICという言葉は意外と新しく、2000年ごろにミネソタ大学のOsborne博士が、膀胱炎の原因を再分類した際に、ばい菌感染、尿石、腫瘍や生まれつきの異常も何もないのに膀胱炎がおきている猫が6割以上も占めていることが分かり、新しい分類としたものです。特発性などと何か難しそうな大層な名前がついていますが、要するに、よく原因が分かりませんということです。

2、症状

症状は、いわゆる膀胱炎の症状そのもので、次のようなものです。

①不適切な排尿(トイレ以外の場所で漏らしてしまう)
②頻尿(一日に何回もトイレに行く)
③有痛性排尿(おしっこをする際に鳴くなど)
④血尿(おしっこが赤っぽい)

特に雄猫では、炎症の結果、尿道(おしっこが通る管)が詰まってしまい、おしっこが出なくなることがあり、この場合は緊急です。トイレに繰り返し行く場合には、おしっこが出ているのか確認することがお家では大切です。

3、発生要因

文献により一致した見解でないものもまだ多いのですが、猫の種類ではペルシャでは多いとの記述が多く、実際に治療をしていてもそのような感じはしています。年齢はどの年齢でも起こりますが、7歳位までに多くて、歳を取るにしたがって減っていきます。その他、太っている猫で危険性は高く、また去勢・避妊をしている猫の方がしていない猫より危険性が高いとの報告もあります。その他の要因も様々な国で調査研究されていて、概ね次のような要因も原因となると考えられています。

①怖がり、神経質な性格
②トイレが1つしかない
③仲の悪い同居猫がいる
④引っ越しが多い
⑤水を飲む量が少ない

つまり、ストレスが要因の1つとなっていると考えられます。
最終的な発症メカニズムはまだ解明されていませんが、膀胱内膜の異常や神経伝達物質及びホルモンの異常等が考えられており、この解明により根本的な治療法が見つかることが期待されています。

4、診断・治療

診断は、他の膀胱炎となる原因がないことを確認することで行います。
治療は次のようなものを組み合わせて行います。

①ストレス要因を除去し、落ち着いた生活環境を作る
②飲水量を増やす
③痛み止め、抗痙攣薬や抗不安薬の処方
④フードの変更

5、最後に

多くの猫では数日から1週間程度で症状が治まってきます。しかし、再発も多く認められる病気ですので、飼育環境・食事など普段の生活環境を改善して再発を防ぐことが大切なことです。

 

参考文献
Osborne CA, Kruger JM, Lulich JP, et al. Feline urologic syndrome, feline lower urinary tract disease, feline interstitial cystitis: What’s in a name? J Am Vet Med Assoc. 1999;214:1470–1480.

Cameron ME1, Casey RA, Bradshaw JW, Waran NK, Gunn-Moore DA. A study of environmental and behavioural factors that may be associated with feline idiopathic cystitis. J Small Anim Pract. 2004 Mar;45(3):144-7.

Pieter AM Defauw, Isabel Van de Maele, Luc Duchateau, et al. Risk Factors and Clinical Presentation of Cats with Feline Idiopathic Cystitis Show less. J Feline Med Surg. 2011 Dec;13(12):967-75.

posted date: 2017/Nov/20 /
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